土地家屋調査士制度制定70周年

土地家屋調査士は70年間、国民の安心と安全な暮らしを提供するために活動をしてきました。 近年、人口減少と高齢化社会、異常気象と自然災害、社会インフラの老朽化といった社会問題の中において、 「土地家屋調査士がすべきこと」は、空き家と所有者不明土地問題、防災・減災とまちづくりへの貢献です。 今、私たち秋田県土地家屋調査士会は業務形態の変革に向けて、意識と行動を変える時期を迎えました。

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記念PROJECT 1

 新しい地図公示方法の提案 実はすごい!地図情報の活用法。

法務局は40年以上前からIT対応地図をコツコツ整備し続けてきたことを皆さんはご存じでしょうか。(*1)?!

この地図、正式には、不動産登記法14条1項地図といいます。

方位、形状、縮尺ともに正確で、土地の区画と地番が復元可能なように、高精度に作成されています。

これが地図・・・ ????? ただの白地図なの?

不動産登記法14条地図は、不動産の権利関係の公示、不動産取引の円滑化という登記制度の観点から作製されるもの・・・

でも白地図じゃわからない

建物や道路がわかりやすければいいのに

グーグルマップみたいに・・・

そうですよね・・・

  

そこで 我々から一つの提案

「じゃあ地図アプリでかんたんに見れる形式にしちゃえばいいじゃない。」こんな公示方法があればいいですよね。

こんな感じ

しかもgoogle Earth だったら立体的に見ることができるはず。

 ということで、登記情報提供サービスhttps://www1.touki.or.jp/gateway.htmlからダウンロードした不動産登記法第14条1項地図(PDFファイル)をgoogle Earth形式(kmz)ファイルに変換しちゃうWEBアプリを作成してみました。*2

このWEBアプリの利点は

  • 外部にデータを送信することなく(オフラインで動作可)、利用者のpc内で処理が完結するので安心です。
  • 直感的に土地の所在がわかります。
  • ナビゲーションなどGoogle Earth ProやGoogleマップの機能がフルに使えます。
  • Google Earth Proの地形表示で高低差が直感的に見ることができます。

ただしモバイルではおそらく動作しませんのでPCでお試しください。

また、自動読み取りの精度は良いとは言えませんので座標のチェックはお忘れなく。

作成したkmzファイルはGoogle Earth Proで表示できます。

Google Earth Proは、あらかじめここからダウンロードしてインストールておいてください。

 

こんなファイルを作成できます。サンプルファイルsample.kmzのダウンロード

sample.kmzダウンロード後にファイルをクリックして開いてみてください。

では使い方を説明しましょう。

まず登記情報提供サービスから14条1項地図ファイルをデスクトップ等にダウンロードします。

下のグリーン点滅ボタンをクリックしてそのファイルを選択します。


               

ファイルの読み込みが完了するとこの下に左下座標、所在などの拡大画像が表示さます。

  左下座標拡大↓ 

①自動読み取りが完了すると座標が下のボックス内に表示されます。

上に表示された左下座標拡大画像で、縦の数字がX、横の数字がY座標です。画像とテキストボックス内の数字が一致しない場合は半角数字で画像の数字に修正してください。

図面の縮尺 1/
 図郭左下X座標
 図郭左下Y座標
 図郭右上X座標  図郭右上Y座標

②Google Earth上で地図を表示する際の線色を下のラジオボタンで指定します。





③上に表示されている地図の座標系番号又は記号を選択してください。
 

下の点滅するボタンをクリックすると、拍手とともにDownLoad.kmzというGoogle Earth形式に変換されたファイルがダウンロードできる保存ボックスが表示されますのでデスクトプ等に保存して下さい。


							

ダウンロードしたDownLoad.kmzをダブルクリックするとGoogle Earthが起動して地図が表示されたと思います。

ここで一つ注意していただきたいことは、このWEBアプリは土地の概略位置を示しているということです。地図の作成精度によって復元可能な精度が異なります。現地の土地境界復元や確認確定の際は、必ず土地家屋調査士にご依頼ください。

このような公示方法も使い方によっては、わかりやすいかもしれません。

ご自身の所有地、相続した土地で場所がわからない農地など、14条1項地図ならば糸口がつかめるかも。 試してみてはいかがでしょうか。


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注1
 全国の法務局・地方法務局においては,「民活と各省連携による地籍整備の推進」(平成15年6月26日都市再生本部決定)の方針を踏まえ,全国の都市部の人口集中地区(DID)注1の地図混乱地域注2を対象に,登記所備付地図注3作成作業を計画的に実施しています。   しかし,地価が高額であるなどといった理由により大都市の枢要部や地方の拠点都市の地図の整備は進んでいません。また,東日本大震災や大規模自然災害の被災県においても,復興の進展に伴い地図の整備が求められています。   そこで,法務省民事局では,登記所備付地図の整備の更なる推進を図るため,従来の計画を見直し,平成27年度を初年度とする,(1)「登記所備付地図作成作業第2次10か年計画」,(2)「大都市型登記所備付地図作成作業10か年計画」及び(3)「震災復興型地図作成作業3か年計画」を策定し,作業面積を拡大して実施することとしました。 秋田県内においては、秋田地方法務局地図作成事業に秋田会所属の土地家屋調査士が一貫して携わっています。戻る

注2
 推奨ブラウザはGoogle chrome または Microsoft Edgeです。Google Earth衛星写真の現地整合精度によっては1メートル以上のずれが生じることがありますのでご注意ください。 世界測地系(測地成果2011)専用です。旧日本測地系では正しい位置に表示されません。 地震等による地殻変動が生じた地域等で、必要としている精度を確保できない場合があることをご了承ください。 また、このWEBアプリを使用したことによって発生したあらゆる損害について作者及び秋田県土地家屋調査士会は一切の責任を負わないこととさせて頂きます。戻る

記念PROJECT 2

私設電子基準点という今後の取り組み


 自動車の自動運転の実験,農業機械の自動運転,ドローンの自律航行,建設機械の自動運転などに活用できる電子基準点を設置し,インターネットに無料で配信しています。 「善意の基準局掲示板」http://rtk.silentsystem.jp/

 国土地理院の電子基準点データを配信している配信会社からのデータに頼らないRTK測量を実現しようと考え,自前で電子基準点を設置しています。

現在,所属会員の事務所と自宅の計4か所にGNSSアンテナと受信機を設置し,受信した衛星のデータをインターネットに実験配信しています。

 この設備は,U-BLOX社(EUの企業)が開発した1チップGNSS受信器ZED-F9Pを使っています。このチップを使った受信機とアンテナは,日本を含む世界各国の会社から販売されていてその価格は,なんとキットで約3万円,完成品は,約6万円からとなっています。使用例としては,測量よりは,車や農業機械の自動運転,ドローンの自律航行などの活用事例が多いようです。このチップの性能は,最新の測量用GNSS受信機並みで2周波,184チャンネルGPS,ガリレオ,グロナス,北斗,みちびき等ほぼすべての衛星システムに対応,単独,RTKなどの計算ソフトも内蔵しています。

 RTKの場合の精度は,14mm以内となっています。PPPにも対応していて今後みちびきのCLAS(センチメータ級測位補強サービス)が本格運用するようになれば,単独でも6cmの精度が可能となる予定です。

 この私設電子基準点の土地家屋調査士としての活用方法としては,同様のシステムを移動局とし,インターネット経由(スマホです)で基準局からのデータを受信して解析すれば電子基準点データ配信サービスを使うことなくその場でリアルタイムに座標を計算することができます。当然利用料金を気にする必要もありません(携帯料金はかかりますが)。

 現在は,図根点や境界標の探索に重宝しています。基準点から半径20km以内であれば,探索するには十分な数cmの誤差で測量できています。特に以前測量済みの現場で藪の中からトラバーや境界標を探索するときは,以前の10倍ぐらい効率が上がっていると感じます。

 さて,この私設電子基準点設置は,今後、土地家屋調査士の有志ネットワークで全国をカバーしようという計画の一環です。電子基準点は,全国に1300点です。私設電子基準点は,現在50か所ほど公開されていますが,そのうち18局ほどが土地家屋調査士によって設置されています。調査士は,17000人いるのでその1割の人が設置すれば1700点となります。電子基準点網を超えることも可能です。 貴方も私設電子基準点設置してみませんか。



    参考書籍等
  • 国土地理院HP
  • トランジスタ技術SUPECIAL増刊「センチメートルGPS測位 F9P RTKキットマニュアル」CQ出版社
  • 「SNIPによるRTK基準局開設・運用入門」コロナ社
  • U-BLOX社 HP
  • 善意の基準局掲示板HP

秋田県土地家屋調査士会